高校へ入学すると美術部に入ります。
そこで日展彫刻家で朝倉文夫門下の草野叡三先生と出会います。
男なら彫刻家を目指せと彫刻家になるべく指導を受けました。
3年間、日曜日と正月の3日間を除き毎日石膏デッサンに明け暮れました。
1年生時は部活の後、お茶の水の美術研究所夜間部でデッサンを勉強しました。
2年生時は部活のみで勉強します。
3年生時は目白の美術研究所夜間部で彫刻の実技とデッサンを勉強しました。
とにかく毎日が楽しく、3年になると授業の始業時までデッサン、昼食は弁当を部室に持ち込みデッサン。
同学年で男子部員は6人、女子部員はたしか7~8人だったかと記憶してます。
仲間にも恵まれ、皆熱心に競うようにデッサンの勉強をしました。
草野先生は多くの卒業生に慕われていました。
学生時代ラグビーをしていたこともあり、体力も必要とバスケット部や野球部のOBを集め、時々気分転換を兼ねて少ない人数でラグビーの練習やバーベルを用いてウエイトリフティングの練習をしました。
大きな声を出してボールを追いかける私達は、他の部活にも負けてはいないと今でも自負したいです。
勿論バーベルは先生の御好意で部室に備え付けです。
二年生の夏、彫塑実技の指導を受けます。
先生よりモデルとなる友達はいないかと聞かれ、答えに窮していると、先生がモデルを探してくれました。
学内でも美人で評判のK子さんです。
彼女をモデルとして彫塑の基礎を指導いただきました。
今思えば、良く夏休みの間、時間を割いてモデルを務めていただいたと感謝するのみです。
三年生の夏も彼女をモデルにして作品を制作しました。
三年生時の作品は旺文社主催のコンクールで賞を頂き作品は戻ってきませんでした。
そんな訳で私の許にはありません、残念。
モデルのK子さんです。
肖像権の問題を想起いたしましたが、五十年以上前の写真ですので、許されるでしょうか。
改めて写真を見て、綺麗な女性だと思います。
先生からはお礼はしたのか、何かご馳走したのかと色々助言を頂き、銀座松屋デパートで指輪などを入れるオルゴールの小箱を店員さんの勧めで購入致しました。
人生初めての女性へのプレゼントです。
三年間の高校生活はアッという間の事でしたが、今でも鮮やかにその時の事が思い出されます。
とても充実した日々ではありましたが、多くの材料費、研究所への講座料と親の負担も大変だったことでしょう。
途中ギターを買って、仲間とフォーク・ソングのグループを作り、先生に甚く叱られました。
でも、卒業の送別の会でギターを弾いたら、先生からお褒め頂きました。